糖尿病性神経障害

このような痛みの症状、ありませんか?糖尿病のせいかも?

糖尿病と痛み

 

・糖尿病性神経障害に伴う疼痛とは?
糖尿病によって足や手など身体の末端の神経がダメージを受けることで起こる「痛み」のことを「糖尿病性神経障害に伴う疼痛」といいます。

 

 

・糖尿病性神経障害はどうして起こるのか?
糖尿病により血糖値の高い状態が続くと、全身の血管はダメージを受け、静かに合併症が進行していきます。その合併症のなかでももっともよく起こるのが「痛み」をはじめとした感覚異常を引き起こす神経障害です。

 

糖尿病患者さんの全員がこういった合併症を発症するわけではありませんが、血糖コントロールが不良で高血糖が続いていたり、糖尿病を発症して何年も経っている場合、また、糖尿病のほかに高血圧や脂質異常といった生活習慣病がある場合や、喫煙や飲酒によっても、神経障害などの合併症を起こすリスクは高くなります。

 

反対に、血糖コントロールをうまく行うことができれば、神経障害の発症や進行を抑えられることもわかっています。

 

 

・足の痛みと手の痛み
糖尿病性神経障害に伴う疼痛は、足の先や足の裏の「痛み」や「しびれ」などの感覚異常からはじまります。手の指の症状は、初期には無症状のことが多く進行すると感覚異常があらわれます。これらの痛みや感覚異常は、特に足に強く感じられることが多く、日常生活に支障を来すほどの強い痛みになることもあります。

 

これらの痛みの症状に加え、痛みに伴う冷えやしびれ感があらわれたりしますが、長い時間が経つと痛いという感覚が消失する場合もあります。3ヶ月以上持続することが多く、場合によっては治療に時間のかかる慢性の痛みとなりますので、適切な治療により、初期の段階から症状を緩和させることが重要です。

 

 

・何もしないと、症状はどんどん進行します
糖尿病による神経障害は自然に治ることはありません。
まだ痛みが軽いから、時々しびれるだけでだからといって何も対処しないと、症状が進行してしまいます。また、神経障害が進むと、感覚が鈍くなるためケガややけどに気づきにくくなったり、靴擦れなどのちょっとした傷口がなかなか治らずに化膿したりするようになります。さらに、感覚神経の異常だけでなく、循環・呼吸・消化といった生命の維持を司る自律神経にも障害が起こり、立ちくらみ、排尿障害、便秘といった症状が出ることもあります。

 

・主治医または糖尿病専門医に相談してみましょう。
糖尿病になってから10年程経った患者の半数近くは神経障害を伴うといわれています。初期の段階で症状に気づき、適切な治療を受けることは、進行を抑えるためのもっとも大切な一歩です。「血糖コントロールがうまくいっていないことを先生に怒られるのでは」などと心配せずに、一度病院で診てもらいましょう。

 

痛みやしびれなどがあらわれた場合でも、早めに適切な治療を受けることで、症状の悪化を防ぐことができます。痛みを軽くするための新しい治療薬もあります。気になる症状があったら、早めに主治医または糖尿病専門医に相談してみてください。